熊谷 誠 「日の出」 Makoto KUMAGAI

The rising sun 2008-11(01) oil on canvas 220 x 230 cm(右)
The rising sun  2008-11(02) oil on canvas 190 x 200 cm(左)

作家名_熊谷 誠 Makoto KUMAGAI
展覧会名_「日の出」
会期_2008年12月5日(土)−26日(金)

「日の出」
我家には十年ぐらい前に、近くの住職からいただいた書がある。そこには「長寿無量」と書かれてある。この書をいただいたころは、さして興味を持てないでいたが、今思い返してみると歳月の中で折々に、この言葉について考えていた事を思い出す。「長寿無量」という言葉の世界にはたぶん、始まりも終わりも無く、中心も果てもない大きな生命の流れがあるのだろう。この量る事の出来ない生命の大河の中で個人の生涯は微塵の存在にも値しないのかもしれない。ところが、日々突き当たる様々な問題について考えるてみると、個人の生涯の時間がすべてのように大きく感じる。対面する事柄についても考え抜いたことが、結局のところ、それで良かったのかどうかはわからぬまま過ぎてゆき、導き出したつもりの答えも時間が過ぎてみると、まったく正反対の考えになっていることがある。皮肉なもので、探し求めていたことが実は、すでに身の周りで起こっていて、時とともにじわじわとしみ出てきていたことに気づく。暮らしの中では、「無量」の世界を実感するのは難しいが、先祖や家族とのつながりの中に私がいて、そこで聞く話や考え方が入り込んでいるはずなのに、なかなか気付けないでいたのだろう。生命の大河と個人の存在は密接に絡み合っているのだと、思いはじめている。
そんな暮らしの中で起こる様々な出来事に対面したときの気持ちの変化と共に、私はいくつもの場面を記憶している。母と一緒に半日過ごした畑仕事の帰り道、建物の間に見え隠れしている夕日のとてつもなく大きく見えていたこと。夜、子供を抱いて歩いているときに、気付いた頭上の満月も記憶に残る一瞬であった。次男が生まれる年の冬、早朝に何度となく目にした、日の出の強烈な美しさは、今作りつづけている作品のきっかけとなった。記憶に残る場面は、そのときの気持、いつ、誰と、その場に居合わせたのかで決定されるのだと思う。それは、身近かな出来事でありながら、かけがえのない瞬間となるのである。


作品リスト

The rising sun 2008-11(01), oil on canvas 220 x 230 cm
The rising sun 2008-11(02), oil on canvas 190 x 200 cm
The rising sun 2008-11(03), oil on canvas 140 x 180 cm
The rising sun 2008-4(01), oil on canvas 50 x 67 cm
The rising sun 2008-11(04), drypoint 13.5 x 18 cm ed.5
The rising sun 2007-04, drypoint  33 x 34 cm ed.5

   
The rising sun 2008-11(01), oil on canvas 220 x 230 cm
The rising sun 2008-4(01), oil on canvas 50 x 67 cm
The rising sun 2007-04, drypoint  33 x 34 cm ed.5 The rising sun 2008-11(04), drypoint 13.5 x 18 cm ed.5
   
その他のサイト
「回想する家」個展、2011 

「日の出」個展、2008 
「境界に暮らす」個展、2005