ミハ・ウルマン|Micha Ullman

Earth Room, 2002, 200 x 300 x 100 (depth) cm 西宮、個人
 ミハ・ウルマンは1995年「図書館」という題名の作品をドイツ、ベルリンのベーベル広場に恒久設置しました。「図書館」は地中に埋もれ、ガラス張りになった地表面から覗き見ると空の本棚が四方にあるだけの本のない「図書館−室」が確認出来ます。この作品が設置された場所は1933年ナチスによって「非ドイツ的書物」が焼かれた痛ましい歴史的な場所です。焼かれた主な書物はユダヤ人による書物であり、この地にイスラエル(ユダヤ)人の作家の作品が設置されたことは世界中にセンセーショナルな出来事として印象づけられました。

 そのウルマンが昨年末、西宮市に「Earth Room」を制作いたしました。鉄製の家の形が地面に横たわり、その形のまま地中に掘られた部屋は、雨の日には底に雨水が貯まるように意図され、束の間に現れる水面は晴れた日には空、太陽、雲を写し出すと同時に部屋をも二重に写し出します。視覚的には「ダブルルーム」と彼は言い、その時は家の形の底辺と同じ奥行きを感じることができる。部屋には1対の椅子があり、人はこの部屋の中に入りその椅子の座ることさえ出来る。椅子は<安息と思索>を意味し、正にそのための部屋の様でもあります。また、深く考えるならば、人間の最終的な安息のば<墳土>にも見える。幾多の作品をパブリックに設置してきた作家の「今迄で最も制作過程で制約のなかった作品」という言及は社会的なアートの在り方についての意味ありげな言葉でした。
 
 「Earth Room」は福井県立鯖江高等学校に設置された「Stone Gate」に続き日本では2作目となります。

雨水の溜まった状態 2003年4月
工場でのウルマン氏 2002年12月
ベルリン市(ビブリオテークー図書館)
鯖江高校アートプロジェクト
ウィズバーデン美術館での個展