福井県鯖江高校アートプロジェクト
山 口 牧 生|Makio Yamaguchi
山口牧生は大阪北部に位置する能勢の石切り場で採石された黒御影石を用い、隣接する王山古墳を背景とした場所に作品を設置しました。作品の基礎部分はその古墳の形状の美しさと調和するように古墳の様に土盛りされています。それは作家の意図のもとに形作られています。
1927年広島県に生まれる。人間がつけた最初の痕跡を思わせる山口の作品。石を用いてなんらかの形を刻むというより、素材としての石との対話のなかに制作を進める。このような対話はさらに太陽や大地といった石を育んだ自然との間でも交される。近年は能勢産の御影石を用いて直方体や球形などの単純な形態の作品を制作。滋賀県立近代美術館、彫刻の道にある「夏至の日のランドマーク」は高さ5m、うち1mは土中に埋っている巨大な石が絶妙に傾いている。傾きは垂直線から真南の方角に11.5度。ちょうど夏至の日の太陽の正午の位置とぴったり重なる角度にあり、1年に1回の正午だけ、この彫刻の影は消失する。2001年、兵庫県の西宮市大谷記念美術館にて大規模な回顧展が予定されている。


「産む石」能勢産黒御影石、ベンガラ 学校正面の敷地(現駐車場)に設置。
(1998年5月23日設置)


4000 x 1350 x 900 mm

              作品設置の様子

作家によるコメント
<鯖江高校プロジェクト作品"産む石"について>
石の中には漆黒の闇と永遠の沈黙が予想される。古墳の内部に予想されるものも同じく闇と静寂である。古墳があるということは古い文化がそこにあったことを証明している。そして、そういう古い文化は、目に見える形で今日につながらないとしても、必ず伏流水の如きものとなって現在によみがえるものだろう。闇と沈黙のなかから、今日によみがえり生まれるものがある。そして生命をはぐくむ母胎というものにも、静寂と闇がよりそっている。石の中、古墳、母胎、この三者を結ぶキーワードは静寂と闇である。鯖江高校の置かれた地理的・歴史的環境を象徴し、そこから生まれ育つであろう真に創造的な精神をたたえるためにこのモニュメントは構想された。
<私にとってアートとは>
世界はぼうばくとしてとりとめもなく、そこに生きるわたし自身もあいまいもことしてただよっている。もちろん長い年月のあいだには、骨身にこたえる痛みもあったし、しびれるような感動のときもあった。しかし今ふりかえってみるとそれらは白っぽく色あせてみえる。ほんとうにあったことかと疑わしく思えてくる。しかし、それだからこそわたしは石にとりくんできたのかも知れない。この固く、重い、抵抗のある素材を叩くことによって、なにか確かなもの、不動のものにつながりたいと願ったのではなかろうか。人間が古来石に托した思いというものは、人間を超えたもの、永遠なもの、恒常なものへの願いであったといえるだろう。わたしの作るとるに足らない小さな石も、ふたしかなただよう生に、ひとつのかたい点をうとうとする試みであったように思われる。
他の作家のプロジェクト
アンドレアス・カール・シュルツ(ドイツ)
ミハ・ウルマン(イスラエル)
[ 鯖江高校プロジェクトのメイン]
プロジェクトホーム