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Artist Page Isa MITAKE 三嶽 伊紗

　

三嶽 伊紗｜ Isa MITAKE – 三嶽伊紗のしごと　みているもののむこう (徳島県立近代美術館)

2016.04.26（火）- 2016.06.26（日）

<b>鏡 / 微分する眼｜mirror/differentiate eyes</b>　 鏡面アクリル樹脂、蛍光塗料、カラーシート｜Mirror surface acrylic acid resin, fluorescent paint, color sheet　2010<br><font size=1.5>「鏡の上に指を置く。自分の指が映る。当然のことだが、鏡の上にガラスがある限り、鏡に映る指先に触れることは叶わない。アチラとコチラ。境界に位置するモノ。」
　
<b>キリ　ノ　ハナ　ヲ　ミル｜looking at the flower of the paulownia</b>　 print and drawing　2011-14<br><font size=1.5>「中学生の頃だったと思うが、桜の花を観察して描くという宿題がでたことを憶えている。<br>美術ではない、理科の時間だ。ヨク観察して描く。理科の時間を思いだし、キリのハナを描いた。」
<b>Room 1 installation</b>
<b>アオイ本｜blue book</b> 　感圧複写紙、青いインク、アクリル樹脂｜carbon paper, blue ink, acrylic acid resin　2014<br><font size=1.5>「伝票などに使われている複写紙。その端から滲むような青い色は、掠れたように奇妙にぼやけ、美しい。<br>ノーカーボン紙、感圧紙といい「筆圧を感知し、文字などを複数枚に渡り写すことが出来る」という。「感圧紙」という聞き慣れない言葉。<br>その紙が「感知し複写する」という。ページを捲るたび、あの薄い紙は応え、アオイ色をみせてくれるのだろうか。」
<b>イロ｜color</b>　アクリル樹脂、蛍光塗料｜acrylic acid resin, fluorescent paint　2010<br><font size=1.5>「高校の物理の時間だったと思うが、「物体色」を習う。アカイモノは、アカイ色以外を吸収し、アカイ色を反射する。<br>まるで禅問答のようだと思う。アクリルの箱に入れた「色」は発光するようにイロをみせた。」
<b>温度計｜thermometer</b>　温度計、ガラス、シリコン樹脂｜thermometer, glass, silicone resin　2002<br><font size=1.5>「100度の熱湯と零度の水を混ぜ、50度の湯にする。高校の頃に習ったエントロピーの法則。<br>不可逆。逆にすることはできないという。難しい説明は憶えてないというのに、「不可逆」、それだけは妙に記憶している。」
<b>ハイ　ヲ　ミル｜watching ash</b>　灰、ガラス｜ash, glass　2011-14<br><font size=1.5>「線香に火をつけ、白い灰の上に置く。細い枝に似たそれは、緩やかな速度で灰色にかわるとともに、黒い影を落とす。<br>カタチが「カゲ」にかわるとき、突然線香花火に似た赤い光は現れ、消えた。どれほどの時間だったのだろうか。優しい映像。灰のうえの美しい「絵」。」
<b>犬の眼で探す｜looking for it as the eyes of the dog</b>　葉、鋳造｜leaf, casting　2011-14<br><font size=1.5>「犬と暮らしはじめて五年。最近、散歩の途中で彼女は葉を一枚探しだす。一枚だけ口にくわえ、他のどんな葉をみても見向きもせず、大事に家に持ち帰る。<br>彼女が何をみて、一枚の葉を選ぶのか解らない。ただ、遠くはない、すぐ横に在るモノ、その中に彼女の探すものがある。そう思え、しかたない。」
<b>ゆれる水｜shaking water</b>　凸レンズ、牛乳瓶、糸｜convex lens, milk bottle, yarn　2011<br><font size=1.5>「庭に瓶を並べ、メダカを育てる。はじめは水草をみたいと思い、ボウフラ防除の為、飼いだしたのだが、動くものはツヨイ。<br>結局瓶はメダカのモノとなり、瓶の数は増し、水草は彼らの日陰となった。水面に顔を近づけ、中を覗く。屈折された光に、眼の前が少し揺れた。」
<b>ユリ／あしたの記憶｜lily/tomorrow's memory</b>　鋳造｜cast　1996-2014<br><font size=1.5>「タカサゴユリというのだろうか。外来種の百合、白い大きな花を夏につける。やっと暖かくなり、表で過ごす時間が多くなった、そんな折、裏山で土から覗いたこのハナの芽をみつける。<br>昨年のハナなど忘れた頃、同じ場所につけた標。このユリに冬の記憶はあるのだろうか。土の中、夏の記憶だけが埋もれ、白いハナの中、其れを語る。」
<b>アサギマダラ｜parantica sita </b>　写真｜photo　2002-14<br><font size=1.5>「庭にフジバカマを植える。毎年必ず、藤色の花が咲き始めると、何処からか、白地に青紫、茶、黒の美しい蝶がやってくる。<br>何千キロ飛ぶ蝶だという。生駒山で羽にマークされたアサギマダラが、六十五日後、台湾の恒春半島で見つかったという。渡り蝶。美しい響きと同様、蝶が飛ぶ様はゆらゆら揺れ、奇妙に綺麗だ。」
<b>イケル／ツユクサ｜arrange/ dayflower</b>　ツユクサ、白蝋｜dayflower, white wax　2010-14<br><font size=1.5>「随分前、庭に咲く花をとにかく「押し花」にしていたが、どうした訳かツユクサだけが上手くできない。花を挟んだ紙に青い色だけ鮮やかに残った。」
<b>イケル／カタツムリ｜arrange/ snail</b>　カタツムリの殻、石膏｜shell of nail, plaster　2010<br><font size=1.5>「庭でシロイ殻をみつける。宿主は居らず、ヤドカリではないはずだし、たぶん亡骸。かつてはイキモノだったモノが薄い雲母にみえた。」
<b>ニワ　ヲ　ミル｜looking at garden</b>　鋳造｜cast　2011-14<br><font size=1.5>「裏山にエゴの木がある。陽が沈み、木々の影だけが浮かぶ時間。ただ椅子に腰掛けて眺めれば、小さなシロイ花が眼にはいる。<br>もう随分前から、この季節、此処で咲いていたはずだが、不思議なことに気付かなかった。観察する眼ではない、前に在るモノのカタチがみえただけのこと。<br>シロイ花は、まるで擬態するよう陽の光に溶け、日が落ちるにつれ姿を現した。」
<b>あしたの記憶｜tomorrow’s memory</b>　ガラス、絵の具｜glass, paint　2006<br><font size=1.5>「冬の昼過ぎ、畳の上で転寝をする。かなり眠っていたのだろう。眼が醒めると雨。<br>日は傾き、明るかった窓の外は、色を失い、不思議な奥行きだけが残り、シルエットが奇妙に映えた。そこに在るモノではなく、存在の影だけだ。」
<b>Room 2 installtion 1</b>
<b>Room 2 installtion 2</b>
<b>太陽｜sun</b>　プロジェクター、メディアプレイヤー｜projector, media player　2009-14
<b>月の机｜table of moon</b>　鏡、スチール、白蝋、木｜mirror, steel, white wax, tree　2014<br><font size=1.5>「鏡の上に指を置く。自分の指が映る。当然のことだが、鏡の上にガラスがある限り、鏡に映る指先に触れることは叶わない。アチラとコチラ。 境界に位置するモノ。」
<b>月の机（部分）｜table of moon :part</b>　鏡、スチール、白蝋、木｜mirror, steel, white wax, tree　2014
<b>カーテンの向こう（右）｜beyond the curtain :right</b>　EVA系シート、液晶ディスプレイ、メディアプレイヤー｜EVA sheet, display, media player　2010-14<br><b>雪 2010-01／微分する眼（左）｜snow 2010-01/differentiate eyes :left</b>　プロジェクター、メディアプレイヤー｜projector, media player　2010-14
<b>カーテンの向こう）｜beyond the curtain</b>　EVA系シート、液晶ディスプレイ、メディアプレイヤー｜EVA sheet, LCD TV, media player　2010-14
<b>カーテンの向こう（部分）｜beyond the curtain :part</b>　EVA系シート、液晶ディスプレイ、メディアプレイヤー｜EVA sheet, LCD TV, media player　2010-14
<b>雪 2010-01／微分する眼｜snow 2010-01/differentiate eyes</b>　プロジェクター、メディアプレイヤー｜projector, media player　2010-14<br><font size=1.5>「雪の日表に出る。ガッガッという自分の靴音だけが、まるで耳鳴りのように響く。シロイ。真白で何もみえない。この冬、雪が降ると思えば、カメラを持ち　出掛けた。<br>「雪の日」を集め、何時ものようにパソコンのうえで重ねる。其処に現れるのは、やはり白く何もみえない光景だった。」
<b>ユキ - 2012｜snow -2012</b>　プロジェクター、小型液晶ディスプレイ、メディアプレイヤー｜projector, LCD TV, media player　2012-14<br><font size=1.5>「四年前より、十二月にはいり、雪が降りだせば、車を走らせ家をでる。琵琶湖沿いに北へ向かい、余呉から日本海まで行くこともあれば、高島の山の方へ入ることもある。<br> 地図も見ず、ただ雪を追っていくだけだ。気が向けば一泊することもあるが、殆どは陽が沈むと家へ帰る、そんな少し遠出の散歩。<br>また、もちろん一冬に二、三度、我家でもカナリの雪が降ることがあり、その時は、長靴を履き、ポットに珈琲を入れ、近所を歩く。夜中の散歩である。」
<b>ユキ - 2012｜snow -2012</b>　プロジェクター、小型液晶ディスプレイ、メディアプレイヤー｜projector, LCD TV, media player　2012-14<br><font size=1.5>「ここと思えば、三脚を立てカメラを三分ほど開く、それを何度も繰り返す。六十二分のテープが終わる頃、身体は芯から冷え、帰りたくなる。<br>今年で五度目の冬の散歩。私は妙に気に入っている。家に帰り、マックのうえで「雪の風景」を重ねる。幾重にも重ねた「風景」は、まるで眠りの中のようだ。<br>時間軸の中でみているのではなく、ただ降る「雪」があるだけだ。」
<b>Room 3 installation 1</b>
<b>Room 3 installation 2</b>
<b>シロイ夜｜white night</b>　プロジェクター、メディアプレイヤー｜projector, media player　2014<br><font size=1.5>「湖岸にたてば、咳き込みそうなほど降る雪。足先が凍るのに時間はかからない。 暫くたったのち雪はゆっくりと速度を緩め、私の周りは静かにとまった。<br>眼の前の湖面は黒く光る金属と化し、自分の呼吸の音だけがアタマの中で響く。 奇妙な光景。距離はもちろん時間の感覚がつかめない。<br>昼も夜もアチラ側をみた。そんな気がしたのは、気のせいだろうか。「シロイ夜」ノートより」
<b>夕日／遠景の座標（左）｜setting sun/coordinate of distance view :left　波／遠景の座標（右）｜wave/coordinate of distance view :right</b><br><font size=1.5>「琵琶湖を廻り、異なる場所、異なる日にカメラをまわした。家に帰り撮った画像をマックの上に重ねる。 水面だけを合わせた風景の［映像］は水だけが揺らいだ。仮に夢の中でみる夢を［映像］と言うならば、その［映像］は動いているのだろうか。<br>最近妙に気にかかる。例えば琵琶湖に立つ。水面が波打つ―［ものごと］が流れる、そんな時間軸で観ているだろうか。ただ波打つ「水面」を観ているだけだと思えてしかたない。<br>上手くは言えないが、其処に時間が存在することはなく、ウゴク「もの」だけがある。［もの］ではない［映像］を手法としてつくりたいと思いだしたのは、いつ頃からだったのだろう。<br> 知人に教えてもらい小さなビデオカメラだけは購入したものの、学校をでて［もの］を触り制作しつづけてきた自分には、なかなか思いきりがつかないままだった。<br> そんな私が、一昨秋、日頃から交流のある四人で「八つの課題」というグループ展をした折「映像作品をつくる」と課題をだし、はじめて［映像作品］をつくった。<br> 自分が想う［映像］を並べ、瞼を閉じることなく［夢］の中を覗いてみたいと願う。「2009　遠景の座標」ノートより」
<b>波／遠景の座標）｜wave/coordinate of distance view</b>　プロジェクター、メディアプレイヤー｜projector, media player　2009-14
<b>夕日／遠景の座標｜setting sun/coordinate of distance view</b>　プロジェクター、メディアプレイヤー｜projector, media player　2009-14
<b>シロイ夜｜white night</b>　プロジェクター、メディアプレイヤー｜projector, media player　2013