「新しさの行方」
画材屋さんで揃う材料で制作しても、すでに一歩、二歩、現代の美術状況から遅れをとっているかのように、新しい感覚の作品は出来にくい・・・・と思っている私が、そのど真ん中の油絵具を30年来使い続けていることはおかしなことだ。 「絵を描く」なんて古臭く聞こえてならないが、描くことでしか出せない美しさなり、新しい表現は無いものか？ 20代半ばで今の絵画スタイルに気付いた。直感的な発見だったが、今尚、新鮮に制作できていることは喜ばしいことだ。具象、抽象、あらゆるイズムを超え描く楽しみから現れる表情豊かな色彩。 2000年より10年間、オリジナルのキュービックキャンバスを支持体として使用していたが、今回は「描かれた色」を焦点に、その表現がダイレクトに感じ取れるであろう、シンプルな形状へと切り詰めた新作。　　＜作家コメント 2012年1月＞